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初めて買ったCD

 子どもたちの部屋の片づけで引っかき回されラックにも収まらずに行き場を失ったCDをかき集めていて、ふと「初めて買ったCDは何だったっけ?」と考え始めた。

 初めて、自分の意志で、自分のおこづかいで買ったLPレコードははっきり覚えている。

マーラーの「大地の歌」(ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団)。 今をさかのぼること30年以上前の中学校1年生の時のことである。ジャケットデザインはもちろん、買った店、値段、レーベル、メーカー、さらにはカッティングマシーンが何であったかまで事細かに覚えている。

 にもかかわらず、初めて買ったCDが何であったのかまったく思い出せない。今も現役の1985年製LD/CDコンパチプレーヤーを購入したときに、レコードを全て「ハンター」に売り払って、一気にCDへ走ったはずなのだが、その記念すべき第1号の記憶が全くない。

 LPレコードとCDでは、それほど思い入れの度合いが違っていたのだろう。もちろん、購入したときの気持ちのありようは、中1のそれと大人になってからのそれとでは大きく違っていたことは想像に難くない。おこづかいをかき集めて初めて買ったレコード、針を落とす瞬間の緊張感、ノイズに埋もれそうなピアニシモの息づかい、針が今にも飛び出しそうなフォルティシモの躍動感。安物のレコードプレーヤーで、何度も何度も繰り返し聞いたことが今でも鮮明に思い出されてくる。

 ジャケット、ライナーノーツ、そして音楽メディアとしてのLPレコード、1枚のレコードにはその時代の自分と完全に重なるひとつの意味を必ず持っていたように思う。

 CDの登場で、"レコード"は単に音楽を記録し伝達するだけのメディアに成り下がってしまったのかもしれない。今や音楽はネットで買う時代。仰々しいオーディオセットではなく、パソコンで取り込んでiPodで聴くのがあたりまえのスタイルになった。「レコードを買う」という感覚すら既になくなっているに違いない。

 今はまだ、ポータブルメディアプレーヤーの類は持っていないが、いずれ手にしたときに、それがいつだったか、どんな曲を購入したのか、そのときの自分を取り巻く状況はどうだったのか、将来、おそらく思い出すこともできないのか思うと寂しく思う。

 初めて買ったCD、何とか思い出さなければ。

 

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コメント

記事を見ていてわたしも同じだとわかりました。CDは思い出せないんですね~。

こりゃびっくりです

投稿: 玉井人 | 2005年5月11日 (水) 23:14

やはり皆さん同じなんですね。ちょっぴり安心しました。

しかし、今現在、思い出す糸口すら見つかっていません。

投稿: ○な | 2005年5月12日 (木) 23:22

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